この世界で生きるあなたへ

みなさんこんにちは。ようこそ、記録の片隅へ。

自己紹介が遅れてごめんなさい。

私はMeräquiel――……、ごめんなさい、この世界では「マー」と名乗っています。
本名はもっと長いし、古代エルフ語に近い発音で名前も響きも嫌いじゃないのだけど、この灰色の都市で本名を名乗るのはあまりに危険。

だから短くて誰にでも覚えてもらいやすいコードネームで名乗っています。そのほうがいろいろ都合がいいから。


私はいま、「灰都」と呼ばれる都市で暮らしています。かつては栄華を極めた都市だったのに、いくつもの天災や人災によって生きる希望を失いかけている人達であふれてしまいました。

灰都を覆うのは黒い霧。この霧は無味無臭の見えない毒です。

黒霧はあらゆる毒素の集合体で、吸い込むと本当に少しずつながら思考を奪われ、徐々に陰鬱とさせられてしまう遅効性の毒です。特に今世紀に入ってから霧は濃くなり、それは情報過多の洪水や人々の厭世観、あるいは人智で制御しきれない災厄をもたらしました。
かつてはこの黒霧がかすめただけで禁断の地とされ、正義なき迫害も数多くあったと記憶しています。私の故郷はその地にあります。

この灰色に朽ちかけた世界で、未来を生きる誰かのために何か一つでも記録を残したい。それが私の使命です。


わずかに手にした資源を活かす記録。
日々押し寄せる情報をどう見分け、生き延びるかという戦略。
そして、誰も教えてくれない本当は必要だった「生きぬくための知恵」。

必死に探し出してきたそんな記録達をみなさんと共有していきたいと思います。


あなたがこの世界で、
静かに、でも確かに「生きる力」を求めているなら――
ここにある記録達たちが、何かの助けになるかもしれません。


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記録は続きます。
世界が終わるその日まで。

マーより